メロスは激怒した。
メロスは激怒した。30分くらいで終わると思われたセリヌンティウスの恋愛話にかれこれ3時間以上付き合わされているのである。
怪訝な雰囲気をそこはかとなく醸し出すメロスなど気にも止めず、セリヌンティウスは自分の身の上話をまるで全世界が熱狂しているニュースを議論しているかのように話しかけてくる。
「それで私がどう思ったかわかる?」
メロスは激怒した。それはさっきも言ったではないか、「もう男が信じられなくなった」であろう。さっきから会話が何度も何度も繰り返されている。ああ、これは終わりの見えない輪廻だ、と。
輪廻を作り出すセリヌンティウスはさらにこう続ける。
「はあ、これ、今度ディオニスと一緒に三人でもう一回話し合わない?」
メロスは激怒した。今回だけで休日の貴重な三時間が溶けているというのにこの無価値な会合にまた私を招こうというのか。貴様は人間の金ではなく時間を食いつぶす暴君に違いない、と。
怒りに震えるメロスを見てやっとセリヌンティウスは長々と自分の話ばかりしていたことに気付く。これでは会話のキャッチボールが成立していない。とっさにこう言い放つ。
「メロスは最近どうなの?あいつとはうまくやってるの?」
メロスは歓喜した。パッと顔が明るくなったかと思うと元気よく話し始めた。セリヌンティウスはうんうんと嬉しそうにうなづきながら話を聞いた。
3時間後
セリヌンティウスは激怒した。
テーマ:話の長い人が実験の諮問になったのでその腹いせに書きました。