てけけ日記

フィックショーン!

エレベータ

女「こんばんわ、何階ですか?」 男「10階です」 女「わー、同じ階ですね、偶然偶然」 男「…えーと、あんま見ない顔ですけど、最近このマンションに引っ越してきました?」 女「あ、違いますよ。10階に友だちが住んでて、それで、会いに行くんですよ」 男「…

90億人乗れるバス

天才学者ポーツマスだ 知っているか?彼の名を ありあまる才能で 最強最大のバスを開発 90億人乗れるバスだ こいつが最高のバスなんだ エレガントな椅子とピカピカのトイレ バスは驚くほど固く、不思議、 崖から落ちても傷付かない 乗客は揺れすら感じない …

蟻(アリ)

終わらないレポートを前にカタカタとキーボードを叩く。レポートは俺のキーボード攻撃を受け続け、少しずつ、少しずつ弱っている。今にも消えてなくなりそうだ。そうだ、いけいけ!俺のノートPCよ!そのレポートをやっつけろ!このKボタンはブロー、このRボ…

回転寿司 後編

体の殺菌を終え、魚の体内のような臭いのするホールに入る。スーッと息を吸うと、魚の死気が鼻から脳へ通り抜ける、ボアァっとして少し落ち着く感じがする。これだよ、これこれ。頭の熱が少し冷める感じがする。入って2,3個寿司を流してすぐ、沼田が入ってき…

回転寿司 前編

寒空のある日、息を荒げながら速足で歩く。何もかもがムカつく、どうして俺ばっかり理不尽な目に合うんだ。数時間前に生じたこの苛(いら)立ちは、強い波となって未だに脳をぐいぐいと揺さぶっている。それは熱を持ち、その熱がまた、苛立ちの波を起こす。こ…

飲食禁止

図書館にいる。ここは大学の学生図書館で基本「飲食は禁止」だ。 僕は椅子が4つ付いた大きめの机の椅子の1つに座っていて、この駄文を書いている。対角には綺麗な女、真っ赤な口紅と茶髪がチャーミングだ、オレンジのベレー帽は図書館の中でも脱がないらし…

■失 私の頭の中で人間が殴り合うことがある。選手は二名、賢く、地位も金もある男と、重度の発達障害で、「あー」と「うー」しか喋れず、ほとんど四肢も動かない男。この二人が手に汗握れる白熱するよい勝負をするのだ。 地方都市の寂れた町の一角にある集合…

不平不満の部屋

Kは知に貪欲だった。幼少の頃からその生活のリソースをほとんど自身の知の集約に注いできた。しかし、興味のあることにしか手を出さないため、妙に偏った知識を得ていった。 またKは野心家でもあった。いつか自分の力で世界を一変させるような開発を成功させ…

顔-3

引用元不明:“心の底から、本気で、自分から乖離した全く別の何者かになりたいと切に願うほど、親不孝なことはない“ 僕の席は教室の後ろの方にある。私語の絶えない騒がしい授業の中、今日もいつも通りぼーっと黒板を見ていた。しかし、ふと気が付くと、僕は…

顔-2

真夏の強い日差しが照り付ける中、僕は待ち合わせの店へ向かっていた。騒がしいセミの鳴き声が胸の高揚感を高めていく。僕の顔の製造者、いったいどんなひとなのだろう。 子洒落たアメリカン風の喫茶店の戸を開ける。心地よいクーラーの風が戸の間から吹き出…

顔-1

東京の近郊にごく普通に学校に通う少年がいた。中学生の彼は「どこにでもいる」「特徴のない」といったような形容詞がぴったりとはまるような容姿と性格をしていた。学校でもほかの生徒と同じように笑い、たまには怒った顔をして喧嘩もした。表情は比較的豊…

メロスは激怒した。

メロスは激怒した。30分くらいで終わると思われたセリヌンティウスの恋愛話にかれこれ3時間以上付き合わされているのである。 怪訝な雰囲気をそこはかとなく醸し出すメロスなど気にも止めず、セリヌンティウスは自分の身の上話をまるで全世界が熱狂している…

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this video has been deleted 世の中の人間は二種類に分けられる。これを見て「アッ!」と分かる人と分からない人だ。 ちなみに元ネタはxvideosやpornhubといった海外アダルトサイトで何かしらの理由で削除された動画のリンクを踏んだ時に表示される注意文で…

行為

世界には、宇宙には歴史がある。この歴史はあらゆる物体の動き、現象によってゆっくりと、膨大に積み重ねられてきた。そして現在に至るまで大きな物語の木のようにすくすくと成長している。あなたが今日行った行為の一つ一つは膨大に枝分かれした枝の先にそ…

運動

ずっと寝ていた。ずっとずっと。約一年間、たまに起きて、本を読んだり、ゲームをしたりして過ごしていた。家からは一歩も出ていない。この部屋は狭い。5畳で物がたくさんだ。床は日本の伝統にならった畳が敷かれ、壁には汚れがところどころある。置いてある…

サメ

サメが好きだ。 この一言に尽きる、僕はどんなものよりもサメが好きだ。 幼稚園の頃、水族館で初めてサメを見たとき、頭に電撃が走った。水族館に泳ぐそれは一目で僕の心を奪っていった。どんな心でも見透かしてしまいそうな目、しなやかに尖った頭部、美し…

ぷにぷにした黒い玉

–電話– 「先月のサークル後の帰り道だったっけ?そう、そのはずだ。俺はそん時ほろ酔い状態で道端に黒くて丸い何かが落ちてんの見つけたんだ。で、変にテカッてやがるから気になって拾ってみたんだ。」 「道に落ちてるもん拾うなよ・・・。」 「まあ、いいだ…

文字しか見えない

僕には友達がいた。その子は本が大好きで毎日のように持ち歩いていた。暗い性格でもなく、変に明るいわけでもなかった。ただ毎日のようにジャンルを問わず、膨大な量の文字を読んでいるからなのか、彼の知識量は膨大だった。幼少期でまだ難しい言葉がわから…